玉なす詞音

  • 天も愛づるか 一葉の 玉なす詞音 綾錦 広げ覆へ 読み笑むぞ 失せ去り行くを 我ら居ぬ
  • てんもめづるか いちえふの たまなすことばね あやにしき ひろげおほへ よみゑむぞ うせさりゆくを われらゐぬ
  • 天も愛でていることだなぁ、一葉がものする美しい文章の言葉やその響きを。まるで壮麗な綾錦のように素晴らしい作品を、それこそ綾錦を広げ覆ってしまうようにもっと周りに広め読んで楽しもうではないか。一葉の生きた時代は失われ遠ざかって行くけれど、読み継ぐ私達はずっといるのだから。

大好きな、そしてかなパズルを作るきっかけにもなった、樋口一葉へのオマージュです。

「一葉」は大前提として、「玉なす言葉」と「綾錦」をキーワードに作り始めました。「玉」は「美しい、素晴らしいもの」の意味があり、このサイト名でも使用しています。「綾錦」は美しい織物のことで、文字の見た目や響きも雰囲気があっていいですよね。一葉の流れるような彩り豊かな文体を形容するためにこの2つは必須でした。
余った文字でさまざまに試行錯誤を繰り返しながら、「綾錦」ときれいにつながる「広げ覆へ」が出てきたときには作り手でありながら “そう来たか” とびっくり。
最後に「ね」が余り、どうしようかと少し考え「音」として「言葉」のうしろに付ければいい、と着想して完成です。一葉の文章は聴覚的にもたいへん心地いいですし。なお、「玉なす言葉音」だと字面が少ししつこくなるので「玉なす詞音」と改めました。

語法について。
初句「天も愛づるか」の「か」は終助詞で、意味は詠嘆です。一葉は若くして召されましたが、そのあまりの才能に天も惚れたがゆえにすぐさま呼ばれてしまったのだろう、そんな意味合いを込めています。
「失せ去り行くを」の「を」は接続助詞。接続助詞には順接「~ので」と逆接「~けれど」両方の意味があり、ここでは後者です。同じひと文字なのに前後のつながりを大きく変える柔軟性をもった接続助詞は、かなパズルにおいてときにたいへん重要な役目を果たしてくれます。

読書は好きだけれど、洋の東西古今を問わず小説は一葉以外ほぼまったく読みません。私にとって唯一無二の存在です。

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