炎燃えん、ぶれぬ瞳。

  • 炎燃えん、ぶれぬ瞳。「呼吸の型を 練り上げ統べよ 血腥い 鬼這わせて滅しろ やるぞ!」
  • ほむらもえん ぶれぬひとみ こきゅうのかたを ねりあげすべよ ちなまぐさい おにはわせてめっしろ やるぞ
  • 煉獄杏寿郎のぶれぬ瞳のうちは、炎が燃え盛るであろう。「さあ諸君、呼吸の型を練り上げ統御するのだ。そして血腥い鬼どもを地へ這いつくばらせて滅しろ。やるぞ!」

マンガ『鬼滅の刃』の2作目です。

前言を翻し、またもや原作を読まぬままに作成しました。
ふたたび作ろうと思い立ったきっかけは、最近になって聴いたLiSAさんの曲『炎』の読みが古語風の「ほむら」であると知ったこと。古典好きの身として、このことばを用いてぜひもう1度挑まねば、と触発されたのです(昔から流行に乗るのがヘタクソですが、今更ながらに素敵な曲ですね)。

さて、炎の使い手といえば、主人公の竈門炭次郎ではなく煉獄杏寿郎であるらしい。その出で立ちはネットや書店のポスターなどで目にしていたものの、ずっと炭次郎が成長あるいは変身(?)した姿だと思っていたのです。
そんなひどい無知ぶりでスピンオフ的な作風にするのはいかがなものかと迷いつつ、でも「炎」が不可欠のキーワードだしとても人気があるようだからと、今回は煉獄杏寿郎を主役にしようと決めました。

語法と内容について。
初句「炎燃えん」の「ん」は文語法です。ただ、現在でも「我いざ行かん」などと使われることがあるので問題はないと考えます。物語の舞台が大正時代であることを考慮すれば、かえってふさわしい言い回しともいえるのではないでしょうか。
また、純粋な表現上の話ですが、訳をご覧になれば分かるように「炎燃えん、ぶれぬ瞳。」は倒置です。「炎」を先頭にもってきたかったし、この並びのほうが語調がいいと感じました。ですから、「炎燃えんぶれぬ瞳」ではなく「ぶれぬ瞳(は)炎燃えん」であり、助動詞「ん」は連体形ではなく終止形になります。

3句目以降は煉獄杏寿郎のセリフという設定です。闘志溢れる杏寿郎が修行の場では後輩たちを叱咤しながら鍛え、戦いでは発破をかけつつ自ら先陣を切っていく、といったところでしょうか。
「統べよ」に「滅しろ」と、命令形が並んで統一感がとれたのは嬉しい。
作り終えたあと、杏寿郎が活躍した第8巻を購入して読みました。創作したセリフ部分と彼のキャラクターとに大きなズレがないかを確かめたかったからです。案外悪くないと思うのですが、いかがでしょうか。
ちなみにのセリフ「その闘気練り上げられている」の「練り上げ」と、偶然にも合致していたことにはびっくりしました。

余談ですが、作品右下にある大きな文字「炎」のすぐ右横に「煉獄杏寿郎」が来るよう配置したのは、「炎と書いて煉獄杏寿郎と読む」という意図を込めているからです。「先生がいなければ今の私はなかった」といった振り仮名の自由さは日本語の大きな特徴であり特長でしょう。それを活かした、ちょっとした遊び心です。

*2025/09/17追記*
初出時は 炎燃え、ぶれぬ瞳。「呼吸の型を 練り上げ統べよ 全パワーで 血腥い 鬼滅しろ やるぞ!」 でしたが、「全パワー」のことばづかいがどうしても気になり、改作しました。
よりよくなったと思います。
時間を空けると、以前には思いつかなかったかなの組み合わせが見えてくるものですね。

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