- カボチャ・あめ 魔女を押さえて ひーふーみー 除けぬグッズ ベリーキュートな子らもね 似せたわむれる ハロウィーン
- かぼちゃあめ まじょをおさえて ひーふーみー のぞけぬぐっず べりーきゅーとなこらもね にせたわむれる はろうぃーん
カボチャにあめ、それから魔女をしっかり押さえてよ。ひとつふたつみっつと、どれも欠かすことのできないグッズだから。主役のとってもキュートな子らも忘れちゃいけないね。子どもたちを含め、みなが仮装してたわむれるハロウィーン。
ハロウィーンです。
作成について。
「ハロウィーン」と、その代名詞である「カボチャ」でかながかぶっていないことから作ろうと思い立ちました。
とはいえ、最近でこそメディアでとり上げられ日本にとり入れられつつあるけれど、私が子どものころはまったく根付いていなかったイベントです。だから具体的実感がまるでなく、ことばがとんと浮かんで来ません。
そのため、まずはハロウィーンのことをネットで調べて知識を得ることに。そして、主役である子どもたちのこと、おやつのこと、仮装のことを盛り込みたいと臨みました。
子どもは「ベリーキュートな子ら」と表現でき、おやつも代表格であるキャンディを「あめ」として入れることができ、後述しますが仮装についても解決。
半分ほどがほぼ定まった状態から、「押さえて」「ひーふーみー」「除けぬグッズ」の箇所、すなわち「え、お、く、け、さ、す、そ、つ、て、ぬ、の、ひ、ふ、み」の組み合わせで大いに難渋しました。やはりハロウィーンになじみがないという事実は大きく、頭をひねってもことばが出て来ず、全体に筋が通るように語句を組み合わせられません。「アマビヱ」や「平手友梨奈」、「Mrs. GREEN APPLE」を作成したときと同じです。
それでも、何度も諦めかけながら試行錯誤を繰り返し、残すは「ひ、ふ、み」の3文字に。さあどうしたものかとまたまた思案に暮れることしばし、そのまま「ひーふーみー」でいけることにハタと気づきました。数を数えるときの「ひー、ふー、みー、よー、…」というあれです。人名でも一二三さんがいますよね。ということで、やっとこさっとこでき上がり。挙げたグッズが3つという偶然の一致に命拾いしました。
なんとか完成はしたものの、最初は訳と併せてご覧にならないと文意が把握しにくいかもしれません。せっかくハロウィーンをテーマにするのだから、子どもでも一読すればすんなり分かる易しいことばづかいでスッキリした内容にしたかったけれど、力が及びませんでした。限界です。
語法について。
「魔女を押さえて」の「押さえて」は、「人気アーティストのコンサートチケットを押さえる」などというときの用法です。ハロウィーンに必須のグッズを確保し用意しておくということですね。
「除けぬグッズ」を丁寧に記せば「ハロウィーンでは除くことのできないグッズ」となります。挙げたもの以外ではゴーストやガイコツ、コウモリやクモの巣などがあるでしょうか。
「似せたわむれる」の「似せ」は「似せる」、つまり仮装することです。
さて、「除けぬ」と「似せ」は滑らかでない表現と感じられるかもしれません。どちらのことばづかいも誤りではなく意味も通じるけれど、ふつうであれば別の言い方を選択するでしょう。たとえば「除けぬ」なら――もっとも自然であろう「欠かせぬ」はそれ自身で「か」が重複していてNGなので――「外せぬ」というように。
かなパズルは全体を通して自然な日本語に整えることが目標ですが、表現までつねにベストなものにすることはかなりの難事です。仮装についても、「仮装」「装い(う)」「化ける」はどれも「ハロウィーン」とかながバッティングしてしまう。ならばと「ふりをする」でやってみたけれど行き詰まる。ん~と煩悶しながら余った文字群とにらめっこしていて、「似せる」が思い浮かびました。「除けぬ」も同様で、1度使用したかなはもう使えないという制約のなか、全体の組み合わせとバランスをとりつつ言い換えをさまざまに試みることで見出したわけです。加えるなら、「グッズ」も「アイテム」のほうが望ましいでしょう。
かなパズル作品を評価するうえで、適正な日本語であるか否かについては容赦のない目で見ていただきたいですが、適正範囲内での表現に関しては、その文脈で用いるには最善でない次善、次々善(?)のことばづかいになる場合があることをご理解願えればと思います。
そしてまた、文字使用が厳しく束縛されたなかで表現をいかに工夫してまとめるかがかなパズルということば遊びの肝であり、作り手の腕の見せ所であるともいえるでしょう。ご覧になる方にもその点を頭に入れておいていただくと、あるいは苦闘の跡を感じとっていただけるのではないでしょうか。
ともあれ、知識が浅かったり関心が薄かったりするテーマでの作りにくさを、今作を通して改めて痛感しました。
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