ロープ

  • ロープ 一、二巻き 重ね結わえる 編み、舫う 強く縛り ほどけぬ結び目へ 団子の怖れ 手を慣らせ
  • ろーぷ いちにまき かさねゆわえる あみもやう つよくしばり ほどけぬむすびめへ だんごのおそれ てをならせ
  • ロープ。ひとつふたつと巻き、重ねて結わえる。ほかにも編んだり舫ったり。強く縛ってほどけることのない結び目へと。絡まって団子になる怖れがあるから、正しく結べるように何度も練習して手を慣らそう。

ロープワークです。

アウトドアばかりでなく生活のちょっとした場面で役立つロープワークには若いころから関心があり、それを題材にかなパズルを作成しました。

内容と語法について。
まず全体の構成を見渡すと、初句がタイトル、2~4句にかけて結びをいつくか紹介し、5・6句でしっかり縛る大切さを説き、締め(!)の7・8句は知識だけでなく実践の重要性を謳う、となります。

2・3句の「一、二巻き 重ね結わえる」は、基本中の基本である「巻き結び(クローブ・ヒッチ)」を表現したもの。五七調のかな12字でけっこう忠実に手順を描けたと思います。
結びの原理はロープとロープあるいはロープと巻きつける対象物とに働く摩擦力ですが、巻き結びはそのいずれとも理解しやすいのではないでしょうか。

4句「編み、舫う」の「舫う」は、ロープで舟をつなぎ留めることです。端に固定式の輪っかを作る「もやい結び(ボーライン・ノット)」は「キング・オブ・ノット」すなわち「結びの王様」とも呼ばれ、用途は係留に限りません。さきに挙げた巻き結びと並び、ロープワークの代表格といえるでしょう。私自身好きな結びで、「舫う」は最初からキーワードに設定していました。
ちなみに、カウボーイが使う「わな結び」は輪っかの大きさが変わるので、獲物を引っ掛けて引っ張ると輪が締まる仕組みになっています。

5・6句「強く縛り ほどけぬ結び目へ」はいわずもがなでしょう。

7・8句「団子の怖れ 手を慣らせ」に関して。
ロープや紐が絡まって塊りになることを「団子になる」といいますよね。本やネットを見て方法を覚えたつもりでも、じっさいにやってみると上を通すのか下を通すのか、向こうへひねるのかこっちへひねるのかなどと迷い、頭も結びもこんがらがることがよくあります。クライミングやレスキューのさいには生命にも関わるから、考えずとも手が自然に動いて正確に結べるよう、繰り返し練習して「手を慣ら」さなければなりません。

ところで、いざ完成してみると、関連用語をたくさん盛り込めたことにわれながらびっくりしています。
巻く、重ねる、結わえる、編む、舫う、縛る、ほどく、結び目、団子。
話題は地味かもしれないけれど、用語の多さを含めて納得の内容を紡ぎ出せ、ロープワーク好きとしてお気に入りの作品になりました。

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