- 子らの願い 袋へ詰めて 地球を回る 休みなし 汗に濡れ冷え 頬削げサンタ 「余はもームリ!」と
- こらのねがい ふくろへつめて ちきゅうをまわる やすみなし あせにぬれひえ ほおそげさんた よはもーむりと
子供たちの願いを袋に詰めて、地球を回る。……忙しくて休みなし。汗に濡れて身体が冷え、頬は削げ、サンタさんは「余はもームリじゃ!」だってさ。
クリスマスですが…。
作成について。
クリスマスは誰もが知るイベントなので作りたいと考えていました。
でも最重要のキーワードである「クリスマス」自体が「す」でかぶっていて使えません。また、「サンタ」「プレゼント」「トナカイ」「煙突」「靴下」など、代表的なことばをいくつか思い浮かべてもなにかしら文字が重複してしまう。だからとりかかろうという意欲がなかなか湧いて来ませんでした。
そんなときに閃いたのが最初の2句です。そして、これならいけそうだと感じ、クリスマスらしい素敵な雰囲気をイメージしながらチャレンジすることにしました。
ところが、いい感じだったのは3句目までで、4句目から様相が一変。「汗に濡れ冷え」や「頬削げ」が見えた時点で “あ、これはもうおふざけのパターンだな” と腹を括り(?)ました。
想定どおり事が運ばないのはかなパズルの常です。それでも、前半と後半のギャップはなかなか面白いものになったのではないでしょうか。
語法について。
尾句「『余はもームリ!』と」に関して、全体を調整すれば「『もームリ!』と」にすることができます。ただ、「余は」を入れることで、お殿様ではないけれど、偉い人がその地位を暗に自己顕示している、そんな様子が加味されてよりユーモラスになると感じました。サンタさんほどの世界的な有名人もそうはいませんから。にもかかわらず、クリスマスには1人で世界中を飛び回る重労働を強いられる。お疲れ様です、サンタさん。
ところで、「もー」の正確な表記は言わずもがな「もう」です。「毎日が充実していた青春時代の日々は、もう過ぎ去ったのだ」といった趣きの文章で「もー」としたら不自然でしょう。ですが、今回のように投げやりな言い方や「まったくもー!」と怒っている場合には長音を用いた「もー」で問題ありません。
とはいえ「う」が使えなかった言い訳と思われるのももー(!)なので、さきほどの「余は」を含め全体を少しずつ組み替え、以下のように別のパターンも提示します。
- 子らの願いを 袋へ詰めて 地球回るよ 休みなし 汗に濡れ冷え 頬も削げ サンタは「ムリ!」と
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