なっちゃんかわゆい

  • なっちゃんかわゆい 魅せるその声 疲労・眠気を 吹き飛ばすよ さて雨も クラりベタ惚れ 塩に沼
  • なっちゃんかわゆい みせるそのこえ ひろうねむけを ふきとばすよ さてあめも くらりべたぼれ しおにぬま
  • なっちゃんかわゆい。魅力的なその声が疲労や眠気を吹き飛ばすよ。ところで、雨までもクラりとしてベタ惚れし近寄って来るから、なっちゃんは雨女になってしまう。あと、彼女は塩に沼です。

地元のラジオ局ZIP-FMのパーソナリティ、白井奈津さんです。

東海圏で活動し、いくつかのテレビ番組にも出演されています。愛称は「なっちゃん」。明るくかわいく、声に姿に元気をもらえます。
大好きな樋口一葉の本名が樋口奈津で、意外に「奈津」という名前の女性は少ない。たんなる偶然ではあるけれど、そんなところもうれしいです。

作成するにあたり考えていたのは、”かわいい” および ”声を聴くと元気になる” という内容を盛り込むこと。
かわいさについては初句で、その声で元気が出る様子は2~4句で表現しました。
なお、この作品は2020年4月23日に公開したもの――現在は非公開――の改訂版です。ことばづかいに明らかな誤りがあったので、ほぼ原形を留めないほど大幅に作り直しました。

語法と内容について。
まずは「魅せるその声」に言及しなければなりません。
「魅せる」は、サ行下一段活用動詞「魅せる」の連体形として用いています。しかし、本来はサ行変格活用動詞「魅する」であり、そうすると連体形は「魅する」です。
「魅せる」ということばづかいは、もともと「見せる」の当て字のように使われていたのがいつしか「魅する」と一緒くたになったものでしょう。ネットでもそのような説明がなされています。
「魅せる」を含んだタイトルの書籍がたくさんあることからも一定程度の市民権を得ていることは疑いありません。また、『魅せる会話 ― あなたのまわりに人が集まる話し方』(エドワード・デ・ボノ、阪急コミュニケーションズ、2005年)や『「魅せる声」のつくり方』(篠原さなえ、講談社、2012年)から分かるように、聴覚的に魅了する意味でも用いられていることがお分かりいただけるでしょう。
私自身いつのころからか違和感なく使用してきました。語感にしても、個人的には「魅せる~」のほうが「魅する~」よりしっくりきます。「魅する」が多く「魅せられる」の形で見聞きすることも影響しているかもしれません。
従来にない語法が生じると、乱れとするか変化とするかがつねに問われるもの。みなさんはいかがお感じでしょうか。
「魅せる」を認められないという方は、この箇所に関して不備があるとお受け止めください。

つづいて、後半部分の「さて雨も クラりベタ惚れ 塩に沼」についてご説明します。
なっちゃんは雨女であること、またお塩が大好き――飼い猫の名前も「」ちゃん――であることがファンに知られており、それらに絡めて表現しました。
「さて雨も クラりベタ惚れ」は、訳でも示したように「雨も」なっちゃんの魅力に「クラり」ときて「ベタ惚れ」し、なっちゃんに近寄りたいがために雨を降らせてしまう、そんな擬人法的な比喩です。
また、最近は何事かに熱中するを「沼にハマる」「沼る」「沼」などと形容することがあるらしく、いい具合に組み合わせられたので使ってみました。
ところで、かなパズルの作成ではよく知る物事を題材にするのがコツの1つと言えるでしょう。関連する語彙も豊富だし、さまざまな角度から描くことができるので文脈の幅が広がる。必然的に自然な日本語表現に整う可能性が増すというものです。今作も、彼女が雨女であることや塩が好きなことを知っていたからこそまとめることができました。それらの知識がなくても完成できたかもしれないけれど、もっと手こずったのは間違いありません。

余談ですが、以前なっちゃんの番組「HOORAY HOORAY FRIDAY」――彼女のキャラクターにピッタリのタイトルですね――の「早口言葉ミッション」というコーナーに応募したものが採用されました。なっちゃんが3回連続でスムーズに言うことができなければ、出題者にプレゼントが贈られます。見事(?)、しょっぱなからつまづいてくれ、ステッカーをいただきました。掲載しておきますのでよろしかったら挑戦してみてください。 早口言葉:嫌いなツナ連なりつらい白井奈津

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