ぼくは君に恋した。

  • 背中を電流 胸ヒート ぼくは君に恋した。 ろれつ回らず お茶へも誘えぬ 更ける雨の夜
  • せなかをでんりゅう むねひーと ぼくはきみにこいした ろれつまわらず おちゃへもさそえぬ ふけるあめのよ
  • 一目見た瞬間に背中を電流が走り、胸は熱くてたまらない。ぼくは君に恋した。いざ話せば上手くろれつが回らず、お茶にも誘えない。ああ、雨の夜が更けていく。

一目惚れを描きました。

作成について。
「ぼくは君に恋をした」のフレーズがふと浮かび、かながかぶっていなかったので作り始め、1~2時間で完成。
最初はそうでもなかったのが、時が経つにつれて印象が変化し、我ながらけっこう好きな作品になりました。あまり作らないタイプの作風だからでしょうか。

語法と内容について。
近年は自分のことを「ぼく」という若い女性もいるらしく、そうするとこの作品の主人公は男女のどちらでもよさそうです。

内容的に並列の1句と2句および4句と5句が、それぞれ「背中」と「胸」、打ち消しの助詞「~ず」と「~ぬ」というように対応しているのは、偶然だけれどいい感じでまとまった気がします。

SNSでのやりとりが主流の現在、「ろれつ回らず お茶へも誘えぬ」はもう古びたシーンなのかもしれません。

最後の句「更ける雨の夜」は、余ったかなから捻り出した表現です。
情景描写に仮託して心情を表すのは物語の常套的手法ですが、ふだん小説を読まない私にしては上等(?)な出来だと思います。
「あ~ん全てのかなを過不足なく用いる」束縛された条件下にあるからこそ生まれた文句で、かなパズル冥利に尽きるといえるでしょう。

*2025/12/23追記*
初出は2020/07/21ですが、語法に不具合があり、手直ししました。

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