カーレース

  • カーレース 狙い定めて ロックオン その間を行き 寄せ、抜け、越えと 無茶な走りに 見るほうも 皮膚へ粟
  • かーれーす ねらいさだめて ろっくおん そのまをゆき よせぬけこえと むちゃなはしりに みるほうも ひふへあわ
  • カーレース。狙いを定めてロックオン。そのわずかな間隙をついて行き、敵のクルマに寄せ、をすり抜け、追い越しと、無茶な走りに見ているほうも皮膚に粟が立つ。

カーレースです。

内容について。
前方を走るクルマとクルマの間、またはクルマとコースラインの間を縫って追い抜くシーンを描きました。
かな50字弱でまとめるために語句を削ぎ落としていますが、最初に「カーレース」と明示していることで状況をご理解いただけると思います。

語法について、最後の句「皮膚へ粟」は慣用句「肌に粟を生じる」のことです。
慣用句の一部を省略するのは日常的にみられます。「目から鱗が落ちる」を「目からウロコ」といったり、「藪をつついて蛇を出す」を「やぶ蛇」といったり。「肌が粟立つ」の同義表現である「鳥肌が立つ」も、「うわ~鳥肌」などというでしょう。
短歌や俳句と同じく、かなパズルも字数に制限があります。そのうえことばの扱いもままなりません。ですから、「肌に生じる」や「粟を生じる」のように本来の表現を無理なく類推することができない仕方はダメでも、適切な省略は許されると考えます。

それよりも、私が引っかかっているのは「肌」を「皮膚」にいい換えていること。
慣用句は全体でひと固まりなので、語句を入れ替えるのはいささか難があるように感じるのです。たとえばさきほどの「藪をつついて蛇を出す」を「草むらをつついて蛇を出す」といったりしないし、あるいは「青天の霹靂」を「青天の雷」ということもないでしょう。
ただ、かなパズルということば遊びの性格を考慮したとき、完全にバツというのはちょっと無情な気がする。でも、そうかといって問題なくマルともいいにくい。ん~。
個人的にはサンカクといったところですが、みなさんはどう思われるでしょうか。

なお、今回の言い換えを弁護することも兼ね、正岡子規が「粟粒をして肌膚に満たしむるに足る」と書いていたのを挙げておきます(『水戸紀行』)。
たまたま見つけた用例であり、当時どのように受けとられていたのかも分かりません。

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