- はかなくも 世流れ往きし 一葉の あとに描ける 妙なる軌跡
- はかなくも よながれゆきし いちえふの あとにえがける たへなるきせき
樋口一葉は、川を流れゆく一葉のようにはかなくもこの世を去ったけれど、その描いた軌跡は奇蹟的ともいえる素晴らしいものであった。
樋口一葉へのオマージュです。
一葉の流れ綾なす文体は、川の流れのように滔々としています。どうしてああも彩り豊かに連綿とことばを紡いで継いでいけるのでしょう。いつ読んでも惚れ惚れします。
口語体で一葉のような文章を書くのはほぼ不可能だろうけれど、もしそんな作家がいてくれたら、とときどき夢想します。
語法について、「軌跡」は傑作をつぎつぎに生み出したとされる、いわゆる「奇蹟の14ヶ月」に掛けたもの。
文学的な価値はこの期間の作品が高いのかもしれません。でも、私はそれよりまえの、こってりした作品も劣らず好きです。
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