- 「ロンリーだ」 ホストに入れあげ 夢中の娘 身やつし酔えても お金は去る 目を伏せ泣きべそ 首回らぬ
- ろんりーだ ほすとにいれあげ むちゅうのこ みやつしよえても おかねはさる めをふせなきべそ くびまわらぬ
「ロンリーだ」と寂しさからホストに入れあげて夢中の娘。熱中してその快楽に酔えてもお金は去っていく。気分は沈み泣きべそだ、借金で首が回らない。
ホストにハマったとある女性のお話です。
雑誌やマンガ、テレビなどを通じてしか知らないホストの世界。
ホストにのめり込み、ときに信じられないような金銭を費やすのにはさまざまな事情があるのでしょう。この作品のように孤独感を紛らわせる場合もあれば、とにかくチヤホヤされたいという場合もある。しかしながら、ホストに通うために借金漬けになったり、あまつさえ身体を売るという心情は私にはにわかに理解できません。
作成について。
余りやすい「ほ」を含む「ホスト」だけから作り始めました。
できたと思ったら語法に問題があって改作。今度こそはと思ったらまた別の語法に問題があってやり直し。3度目の正直でようやく完成です。
ほ。
語法について。
入れあげる、身をやつす、首が回らない、と慣用句が多くなりました。それぞれ簡単に説明すると、「入れあげる」は多額のお金を好きな人や物事につぎ込むこと、「身をやつす」は熱中すること、「首が回らない」は借金などでお金に困ること、となります。
さて、この作品の最大のポイントは最後の4句でしょう。厳密に対句と言っていいのかは分かりませんが、4・6句は2文字が、5・7句は3文字がそれぞれ脚韻を踏んでいます。
かなパズルは自然な日本語表現に整えることができればそれだけで及第点をもらえることば遊びであり、修辞にまでおいそれと手が回りません。それでも、掛詞だったりダジャレだったりと、ことばを掛けた作品を意識的・無意識的にいくつか作ってきました。もともとことばを掛けることの好きな性向が潜在意識に影響しているのか、無理なく実現できることがときどきあるので不思議なものです。
それはさておき、韻を踏むことは意識したことがありません。今回も偶然の産物ですが、言語表現であるからには読誦性――声に出しての読みやすさ――も大切でしょう。ここまでリズムよく揃うと気持ちがいい。
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