祭りへ行けば

  • 祭りへ行けば 例の路地に 出店居並び お面綿菓子 遊ぶや踊る 幸生む声す えも寝ぬ夜祝ぐ
  • まつりへゆけば れいのろぢに でみせゐならび おめんわたがし あそぶやをどる さきうむこゑす えもねぬよほぐ
  • 祭りへ行くといつもの路地に出店が並び、お面や綿菓子が売られ、遊び回る子や盆踊りをする人がいる。幸せを生む華やいだ声が響きわたっている。とても寝られないような素晴らしい夜を祝福するよ。

ある夜の祭りの情景です。

作成について。
当初はまったく異なるモチーフを主題にしようと考えていました。ところが、試行錯誤しているうちにあれよあれよと話題がシフト。作り手の思い通りにならないのはかなパズルの常でしょう。でも祭りの雰囲気を描き出すことができ、内容には満足です。
ところで、文語で作成するさいにはできるだけ口語の感覚でお読みいただけるように心がけています。文語が敬遠される傾向はますます強まっているけれど、そのよさを少しでも多くの方に感じていただきたいからです。この作品も古語らしい古語はほとんどなく、おおよそご理解が得られるのではないでしょうか。

語法について。
舞台は現代を想定しているので「出店居並び お面綿菓子」の「出店」や「お面」、「綿菓子」は古語にはありません。意外なことに「居並ぶ」もないようです。もし文語に従うことが要求されるのであれば、「居、並ぶ」の複合語ということでご理解ください。
「例の路地に」の「例の」は「いつもの(ように)」という意味で、古文では頻出です。また、「ろぢ」には「露地」もあり、いずれも現在の「路地」および「露地」とはじゃっかんニュアンスが違うらしい。意味としてはどちらでも問題がないので、ここでは「路地」にしました。
「遊ぶや踊る」の「や」は語調をととのえる間投助詞で、とくべつ意味はありません。
古語では「幸」を「さき」あるいは「さち」と読みます。例えば「幸(さいわ)い」を「幸(さきは)ひ」といい、『古事記』の「海幸彦」「山幸彦」はそれぞれ「ウミサチビコ」「ヤマサチビコ」という。現代語は「さち」だけですよね。
終わりの3句がすべて終止形なのは偶然ですが、いい感じで収まったと思います。

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