生ビール

  • 生ビール 泡へ口づけ ほろ苦で のどごしも冴え 背押すぞ 止められぬムリ 身を委ね酔う 気分ハイ!
  • なまびーる あわへくちづけ ほろにがで のどごしもさえ せおすぞ やめられぬむり みをゆだねよう きぶんはい
  • 生ビール。泡へ口づけすればほろ苦で、のどごしも冴え、そのうまさが “さあ飲め” と背中を押すぞ。止められない、おいしすぎてムリ。身を委ねて酔いしれる。気分はハイ!

生ビールです。

作成について。
ビールを題材に作り始めてから、足かけ5年でようやく完成に漕ぎ着けた作品です。
最初にできたものはことばづかいにも文意にも難があり、手直しが必要でした。
しかし、気が向くたびに改変を試みるも上手くまとまりません。
あちらを立てればこちらが立たずで、どうしてもどこかしら不自然になってしまう。
そんなこんなで月日が経過するなか、完成への大きなきっかけになったのは「のどごし」を見つけたこと。
そこから動き出し、とうとうでき上がりました。
考えてみれば常套句なのに思いつかなかったのは、めったにアルコールを口にしないからでしょうか。

語法と内容について。
「泡へ口づけ ほろ苦で」はいちばんに浮かんだフレーズです。余りやすい「ほ、ろ」を含む「ほろ苦い」はずっと使いたいと思っていたので、ビールは格好のテーマでした。

前半と後半をつなぐ「背押すぞ」は、まずは訳と併せてご覧にならないと分かりにくいかもしれません。
これは「背中を押すぞ」ということで、ビールの魅力であるほろ苦の味わいやのどごしの冴えが飲む意欲をかき立てることを、比喩的に表しています。説明をお聞きになれば、”ああそういうことね” と前後で文脈がきちんと通っていることにご納得いただけるでしょう。
また、背中を押された勢いのままに後半3句がポンポンポンとつづくことで、比喩表現と嚙み合う文意になったと思います。このことば遊びでそこまで意図的に内容を構成することはできず、偶然が作用した結果だけれど、お読みになった方にも心地よく酔っていく様子を文面から感じていただければ嬉しいです。
とはいえ原文だけですんなり理解できる内容にならなかったのは、やはりふだんお酒を嗜まないせいでしょうか(?)。

「止められぬムリ」の「ムリ」は、「無理」が肯定的な意味で用いられる比較的最近のことばづかいです。
たとえばある人がスイーツを一口食べ、目を見開きながら満面の笑みとともに “なにこれムリ!” と発したら、「なにこれ、おいしすぎてもったいなくて食べるの無理」といったニュアンスなのでしょう。でもしっかりいただくわけだから、肯定的な表現になっている。
若者言葉を直感的に解する力が年を追うごとに落ちていますが、この「ムリ」は見聞きするぶんには抵抗ありません。でも、自分が使うことを想像してみると違和感ばかり。完全についていけなくなるのも時間の問題なのか…。
なお、この文句の「ムリ」なら一般的な意味での「無理」でも無理がないですね。

「身を委ね」は『Mrs. GREEN APPLE』で悔しい思いをした言い回しです。今回はしっかり使用できました。

ノンアルコールビールを飲むようになってからビールのおいしさを実感するようになり、身体的にではなく心理的に「酔う」楽しさを覚え、「気分ハイ!」です。

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