- 罪なく殺され 鬼と化す 魂消侘びても いや許せぬぞ うち屠り 無念を晴らし 雨の夜へ消え
- つみなくころされ おにとかす たまげわびても いやゆるせぬぞ うちほふり むねんをはらし あめのよへきえ
罪もなく殺され、鬼と化す。目のまえに姿を現すと相手は魂消て侘びるけれど、いや許すことなどできないぞ。うち屠って無念を晴らし、鬼は雨の夜へと消えていった。
鬼の復讐劇です。
作成について。
まったく関係のないテーマで作っていたところから路線変更し、鬼の物語が生まれました。
鬼といえば、現在マンガ『鬼滅の刃』がたいへんな話題です。原作もアニメも見ていないけれど、自然と目に耳に入ってくる。その潜在的な影響もあったのでしょうか。
それはさておき、作り手である私自身 “どうなるんだろう” と展開の行方を見守りながら進めていきました。組み合わせの関係から中盤までの想定とはおよそ正反対になったラストも、これはこれでらしいものになり、満足の出来です。
語法について。
「魂消侘びても」は少し読みづらいかもしれません。「たまげる」はもと「たまぎる」で、どちらも「魂消る」と書きます。魂が消えるだなんて、字面から驚くさまがありありと伝わってくる。殺したはずが鬼となって現れた、それこそ魂消る思いがすることでしょう。ということで、作品の雰囲気を考慮して漢字表記にしました。
「うち屠り」の「うち」は動詞の頭に付く接頭語で、意味を強調します。これまでに口語と文語で1回ずつ使用し、これで3回目。個人的に好きな表現ですが、闇雲に用いているわけではありません。憎んでも憎み切れない相手をいままさに葬り去る、そんな復讐シーンにピッタリですよね。
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