- 鳥・獣 戯れ画き いつごろ?作者は? 謎に満ち 頬をゆるます ファン減らぬ ぜひ愛でようね
- とりけもの たわむれえがき いつごろさくしゃは なぞにみち ほおをゆるます ふぁんへらぬ ぜひめでようね
鳥獣たちの様を戯れて描いたもの。いつごろ作られたの?作者は誰? いずれも不明で謎に満ちている。頬をゆるませるユーモラスな内容で、時代を経てもファンは減らない。そんな国宝の絵巻物『鳥獣戯画』をぜひ愛でようね。
国宝絵巻『鳥獣戯画』です。
作成について。
けっこう長いこと案を練っていたテーマでした。
『鳥獣戯画』を題材にするのだから、パッと見てそれと伝わるようにしたい。
でも、「鳥獣戯画」は「鳥獣」で「う」がかぶるためにこのままでは使えません。
どう表現したものかとときどき考えながら、ある日浮かんできたのが1・2句のフレーズでした。
お読みになればお分かりいただけるように、すべて訓読みの漢字を並べると「鳥獣戯画」になるという仕掛けです。
とはいえ、そこだけ上手くいっても全体として不出来な日本語になってしまっては元も子もありません。
きちんとまとめられるのか、少しドキドキしながらのスタートです。
なお、『鳥獣戯画』の正式名称は『鳥獣人物戯画』ですが、いっぱんに聞きなじみのある略称で作成したことをご承知おきください。
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中盤までは比較的スムーズでした。
ところが、そこでパタリと停滞してからはかどりません。ことばをあれこれ選び出しても筋の通った文意を形成できないのです。
粘り強く試行錯誤し、「ファン」を見出したことが完成へのきっかけになったと感じます。使いどころを見つけられなかった「減らぬ」もこれでつながりました。
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『鳥獣戯画』の概要を描き出せ、なかなかいい具合に収まったのではないかと思います。
語法と内容について。
1・2句「鳥・獣 戯れ画き」にかんして。
「戯画」と名づけられているとおり、その作風は「戯れ画き」というのがふさわしいでしょう。
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3・4句「いつごろ?作者は? 謎に満ち」にかんして。
甲・乙・丙・丁の4巻からなる『鳥獣戯画』は、平安~鎌倉時代の間に複数の人物によって別々に描かれたものが1つになったらしいと推測されています。
しかし、「いつごろ」に成立し、また「作者は」誰なのか、未だ定かでありません。
「謎に満ち」ているのが魅力をいっそう引き立てているでしょうか。
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5・6句「頬をゆるます ファン減らぬ」にかんして。
マンガのような軽妙な筆致でかつユーモアに溢れてと、「頬をゆるます」内容です。国宝と聞いて身構えるようなとっつきにくさはどこにもありません。
同作を含む『源氏物語絵巻』『信貴山縁起』『伴大納言絵巻』の4大絵巻を始めとした数ある絵巻物のなかでも知名度は断トツで、ひょうきんなカエルやウサギの絵はどなたも目にしたことがあるはず。それだけ親しみやすく、「ファン」が多いということでしょう。
偶然の結果だけれど、意味的にまとまりのある5句と6句が脚韻を踏んだのは嬉しい。
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近年、全巻が収録されて値段も手頃なムック本がいくつか出版されています。
眺めているだけで楽しい気分になるので、ご覧になったことのない方も「ぜひ愛でようね」。


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