や敵わぬね

  • イスラムの地で コーヒー生まれ ヨーロッパを巡り 江戸期日本へ 湯気あおるぞ 瀬踏みもしたさ や敵わぬね
  • いすらむのちで こーひーうまれ よーろっぱをめぐり えどきにほんへ ゆげあおるぞ せぶみもしたさ やかなわぬね
  • コーヒーはイスラムの地で生まれ、ヨーロッパを巡り江戸期に日本へ伝わった。淹(い)れるときの湯気から漂う香りが気持ちをあおるぞ。瀬踏みもしたさ。いやたまらないね。

コーヒーが好きです。ということで、その歴史と魅力を詠みました。

通というにはほど遠いのですが、豆を挽いて毎日1~2杯飲みます。ブラックでも問題ないけれど、家では牛乳のほうを多めに。

コーヒーの起源について、当初は生の豆を煎(せん)じていただけで、色も澄んでいたし苦味もなかったそうです。煎(い)ることでわれわれの知るコーヒーの姿になったのが13世紀の半ばごろで、イスラム教の神秘思想といわれるスーフィズムの修行者が夜の勤行(ごんぎょう)の眠気覚ましとして飲用したらしい。だれがどう発想して煎ろうと考えたのか、なんらかの偶然が働いたのか、いまとなっては解明のしようがないけれど、とても不思議ですよね。

ある日ふと「イスラムの地で コーヒー生まれ」のフレーズが浮かんだのが作り始めるきっかけです。
所要時間は1時間ほどと短時間で、結果にも大満足。自作のなかで上位に入る出来です。
当初は歴史をメインに詠むつもりだったものの、前半と後半で内容が様変わりし、なおかつそれぞれ予想を上回る具合にまとまりました。よくも悪くも作り手の予想を裏切るのはかなパズルの特徴ですね。
後半は難儀しましたが、「瀬踏み」を見つけたのが大きかったと思います。

語法について、「イスラム」は「イスラーム」としたほうが適切であるようです。日本では慣習的に「イスラム教」などというほうが優勢なので、そちらに合わせました。
「瀬踏み」は少し様子を見ること。ここでは、淹れたてのコーヒーを味わう楽しみをあえて少しこらえているニュアンスです。
「や敵わぬね」は「や、敵わぬね」で、「いやー、敵わないね」ということです。「い」を発語しない「(い)や」は「や、その件につきましては…」とか「やマァ、そういうこともあるけど」などと用いられますよね。

『ロンドンのコーヒー・ハウス』(小林章夫、PHP文庫、1994年)、『コーヒーが廻り世界史が廻る』(臼井隆一郎、中公新書、2008年)を参照しました。

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