- 山 谷 雲居 天 地 風 小夜 星 月 湯 尾の上 室 梢 根 花 沼 泡 煙 海松布 鰭 音 磯 浦 江
- やま たに くもゐ てん ぢ かぜ さよ ほし つき ゆ をのへ むろ こずゑ ね はな ぬ あわ けぶり みるめ ひれ おと いそ うら え
自然の事物。山、谷、雲、天、地、風、小夜、星、月、湯、山頂、室、梢、根、花、沼、泡、煙、海松布、鰭、音、磯、浦、江。
「いろは歌」よりもまえに作られたかなパズルである「あめつち」に模して、自然の事物を列挙してみました。
「あめつち」は途中から雲行きが怪しくなり、後半は内容も破綻しています。この作者が古語辞典の完備されている現代に生まれていれば、きちんと完成させることができたのではないでしょうか。
正確な七五調にし、それぞれの句にはできるだけつながりのあることばを集めるよう努め、かつ読誦性(声に出しての読みやすさ)を意識した配列にしました。
語について。
大半は現代でも目にしますよね。なじみがないといえば、「雲居」や「尾の上」、「室」に「海松布」といったところでしょうか。
訳にもある通り「雲居」は雲、「尾の上」は山の頂上。それぞれ「わたの原漕ぎ出でて見れば久方の雲居にまがふ沖つ白浪」、「高砂の尾の上の桜咲きにけり外山の霞たたずもあらなむ」と百人一首で用いられています。
「室」は自然の岩屋と人工的な部屋のいずれも意味します。「あめつち」で使われていることからも、「む」や「ろ」は昔から使いどころが少なかったのかもしれません。
「海松布」は古文でときどきお目にかかることばで、海藻の一種です。この語を含めて終わりの2句はほぼ海にまつわることばになりました。
最後に読みに関して、「地」は「ぢ」、「沼」は「ぬ」。どちらもいまとは少し違いますよね。同じものなのにどうして呼称が変化するのでしょうか。不思議です。
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